花嫁と咎人
それから馬車に罪人を乗せれば、再び城へと向かい出す一行。
「…どうして、こんな真似を…」
その馬車の中でオーウェンは口を開いた。
するとハインツはハハハと笑い、
「あの時は殴っちまって悪かったな。」
と言う。
「…はあ?…いいですよ、そんな事…。」
だがオーウェンもフレッドも、勿論そんな事を気にしているのではなくて。
この先に待っているのは安らぎではなく、
「それより、このまま行けば…貴方は死罪です。」
そう、
処刑。
と言う事だ。
しかしどうやら彼は何も気にしてはいないようだった。
堂々と足を組み、その青い瞳を二人に向けると…微笑を浮かべながらこう言う。
「…だから言っただろ、この国ほったらかして逃げるつもりは無いってよ。」
ちゃんと聞いとけよ馬鹿、と言わんばかりのその態度に困惑の表情を浮かべるフレッドだったが、
「…!まさか貴方、」
オーウェンは違って。
「…許してやるよ、過ぎた事は…忘れてやる。」
ビシッとハインツに指を指されたオーウェンは―…
「…本当に、馬鹿だ…。」
静かに泣いた。