花嫁と咎人

「…っと見つけた!」


駆け寄ってきたのはジィン。

彼女はあーあーと私の顔をタオルで拭きながら「また泣いてんのかよ…」と私の頭を撫でた。

でも私の心の中は晴れなくて。
ジィンの優しささえも跳ね返してしまいそうで。


「…明後日死刑ですって。…それも午後三時。ここからでは到底間に合わないわ…!」


そんな自分が余計に嫌いになる。

するとその時。


パチン!


突然ジィンに両頬を叩かれ、私は目を見開いた。


「なんでいつもそう弱気なんだよ!好きなんだろ!?助けたいんだろ!?到底間に合わないとか、そんな事言うなよ!」


怒鳴り声。
目の前のジィンは怒っている。


「はなから諦めてたら、できる事も出来なくなるんだ!簡単に弱音を吐くな!フランはまだ死んでないだろ!」


そんな彼女の言葉を受け止めれば受け止めるほど、自分の弱さが浮き出てて…
私はまた涙を流した。


「…ごめんなさい…。」


「たかが手書きの新聞なんかに惑わされるなよ。…とりあえず、これ食え。」


そして手渡されたのは、紙皿の上に乗ったゾリア。


「…あ。」


これ、ハイネとここに来た時に…。

暫く私がそれを見つめていると「要らないならアタシが食べるけど。」とジィンに言われ、私は慌ててゾリアを口に放り込んだ。


「…おいしい。」


刹那、小さく零れる言葉。


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