花嫁と咎人

どうか側にいて





終焉の宣告後。





フィレンツィリアの青き旗がエスタンシア中に掲げられた時、



「ラザレス・イヴァン・シュヴァンネンベルク。貴殿を…斬首の刑に処す。」



独裁者は紅き薔薇の如く散り去り、

断頭台はこれを機にすべて解体され処分された。



同時に長きに渡って続いた鎖国の鎖は断ち切られ…
国はようやく、世界を見渡し始める。


人々はついに、自由を手に入れたのだ。


だが、フィレンツィリアがもたらしたのは良い事ばかりではなかった。

シュヴァンネンベルク公爵家を始めとし、あらゆる貴族達はその階級を剥奪され、


「エスタンシア王国の全てを、あなた様に。」


エスタンシアの女王はすべての責任を負い…王座をフィレンツィリアに返上した。


それによりエスタンシア王国は崩壊し、

新たにフィレンツィリア王国領エスタンシアと改名される事となる。



―…嗚呼。
終にエスタンシア王国は長い歴史に終止符を打ったのだ。



滅び行く祖国。






でもそれは、決して悲劇などではなかった。






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