花嫁と咎人

体中を蝕む赤い斑点、顔は蒼白で、大量の血を吐いたのだろう、口元には乾いた血の痕が残る。
首を掻き毟る様にして、彼らは絶命していた。

恐ろしくて、声も出ない。

これが、緋色の死神。
原因不明の死の病…。

現実に直面する事が、こんなにも残酷だなんて。


そう眉をひそめたその時。
おもむろに木陰から人影が飛び出してきた。


「……!」


這いずる様にして、出てきたのは…もはや人間とは言い難い姿をしていて。
血に爛れた手を私達に伸ばし、


「水…、く…苦し…い、」


と、濁った瞳で私達に訴えかけてくる。

あまりにも憐れなその姿に、私は立ちすくみ…首を振る事しか出来なくて。


「…ごめんなさい、」


謝っても、


「…た、すけて。痛…い、苦しい…」


その人は私に縋って。


「ごめんなさい、私には術が無いの…!」


涙を零し言った瞬間、ハイネが腰に携えていたサーベルを引き抜き、私を自らの背後に回すと前に歩み出た。
そして、感染者の丁度真上でに剣先を向けると…


「……許せ。」


サーベルを容赦なく突き立てたのだ。
目を見開き…間も無く絶命したその人に、彼はひざを突き祈りを捧げる。


「…来世では、貴方に永遠の幸福があらん事を。」


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