モノクロ ―黒の中の白、白の中の黒―
確か、一週間前に“それ”を渡されたときには、彼は


「うまいって超有名なんだよ」


としか言っていなかった。


だから私が中身を知らなかったのは本当のこと。


彼を傷つけるために酷い態度をとったのはわざとだけどね。


……ていうか。


私が好きなの知ってたのか。


「本当、くだらないことは知ってるくせに、」


どうしたら解放してもらえるかは、いつまでたってもわからないんだね。


本当に、どうしようもない人。


そんな風に優しすぎるから、


私はあなたが大嫌い。


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