clover
手術の、前日。
梨央菜は院長先生に言って、
一晩中側にいてくれた。
僕は緊張で疲れていつの間にか眠っていた。
夜中に、
誰かがすすり泣く声で目が覚めた。
梨央菜が、
僕の布団に突っ伏して泣いていた。
「梨央菜......?」
「っ!!...ごめん、起こしちゃったね」
梨央菜は慌てて涙を拭うけれど、
ポロポロと零れ落ちる涙は
一向に止まらない。
「梨央菜...」
「私だって...平気じゃないの」
震える梨央菜の声が、僕の胸を締め付ける。
「手術とか、絶対大丈夫だって思ってたけど...
いざとなったらやっぱり不安だし...」
「...うん。」
「同じ確率でも、自分のときよりも
晴の手術のほうが何倍も不安で......」
震える梨央菜を、
きつく抱き締めた。
僕らは、同じ気持ちだったんだね。
あの日あんなにも強かった梨央菜が、
僕にバレないようにこっそり泣いていた。
僕を不安にさせないため。
ねぇ、梨央菜。
何だか僕らは...
似ていると思わない?
強がってても、
実は弱虫なところ。
だからお互いを必要とし、
守りたいと思い、
愛し合う。
ねぇ、梨央菜。
僕には、夢があるんだ。
ささやかだけれど、
僕にはとても大きな夢。
もし...手術が成功したら...........