manaloha
I'M YOURS


ひと月くらい前のことですが、仕事が終わってから仲良しのYとお茶をしました。

Yはクリスマスに恋人と別れたばかり。

その日も空元気な様子でした。

他人のことなので詳しくは話せませんが、いろんな事情や感情があり、もう恋人とは戻れないと解ってはいるけれど、やっぱり恋しいらしいのです。


恋人とお別れするかなり前から、Yはみるみる痩せていき折れそうな程。

明るくお喋りは出来るけれど、ふとした瞬間に寂しい横顔を覗かせるので
何が欲しい?
と聞くと
「S(別れた恋人)が欲しい」
と、泣き笑いのような顔をして言いました。


「それかマナの幼馴染みのK」



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マナにはどっちもあげられないので、そこのカフェのチョコチップクッキーをあげときました。





自分のものにしたい、自分のものにしていたいという欲望。

ありますよね。


それは人には限らず、いろんなものに向けられる。

シェア出来るものなら話は簡単なのだけれど、それはケースによります。



例えばそれが場所なら
自分の所有する場所以外は、やっぱり誰かとシェアしないといけません。

自分のものにしたいなら、その景色を切り取って心の中で宝物のように大切に思うしかないのです。


知っていることをシェアするのはすごくすてきなことだし、そうありたいと思う。

物ならもっと単純。
売買可能なものならお金を出して手に入れればいいし、そうでないものは所有出来ません。



では、人は?


ここで言う、人、とは個人の体、一体を指すのか、それともその体の中にある意識や気持ちを指すのかによっても違います。

そもそも、その個人。
体もハートも個人の所有しているものなので、他の誰かに所有されるなんて出来るはずはないのです。



でもね、恋している時。

私のハートはあなたのもの

みんなも言ってるでしょ。
マナもよく使います。
心という言葉でも良いけど、そのハートって?


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