【短編】いらない人間のころし方【MENS企画】



★ ★ ★


リビング奥の障子が静かに開く。


その奥。斜に掛かる灯りがその姿を半分に晒す。


「終わったかい?」


「……えぇ」


七千はその男。白山に、子供みたいといつも言われる笑顔を向けた。


「でも、よかったんですか?」


「何がだい?」


白山は、白に近づき一度愛でるように頭を撫で。


それから彼は白の腕に注射器の針を突き刺した。


中身は空。つまりは空気。


死因は心臓発作。


彼は小さく笑い、くるりときびすを返し七千に向く。


「これで、私だけを。見て、くれますよね?」


男は何も言わずそっと七千を抱きしめる。


七千も男を抱きしめ、その胸に顔をうずめた。


彼の中に他の人間はいらない。


彼の中には私だけで、十分。


他は、何も。





ー了ー



< 18 / 18 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

群青
煌々/著

総文字数/23,408

ミステリー・サスペンス62ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
群 青
将棋少女
煌々/著

総文字数/19,108

青春・友情51ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「世界が喧しい」 そう呟いて指す彼女の一手はどこか儚く思えた 誰にも心を開かない将棋少女 【桂 香歩】 どこにでもいる平凡な男子高校生 【神奈川 夏樹】 彼女の心の声を聞いた時、言葉では救えなかった。 僕が出来たのは将棋を指す事だった。 青春将棋小説。 ここに開幕!! 執筆開始2009,10,29
【短編】俺と鬼畜でカワイイかまいたち
煌々/著

総文字数/18,655

その他36ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
『かまいたち』 と聞けばまず最初に手が鎌状になってるイタチを思い浮かべるだろうね。 その発想はまちがっちゃいないよ。 けどこの学校はその限りじゃない。 この学校にゃ見えない切り裂き魔がいてだね、ソイツを皆『かまいたち』って呼んでる。 それだけ聞けば何だその学校。 ちょーあぶねー。とか思うだろうが、なぜか被害者はいないんだよね。 矛盾した怪談な訳だが、結論はあれだ。 人って奴は見えないもの理解出来ない事には無理矢理にでも何かをこじつけたがる。 昔はソイツを妖怪だって言ってたみたいだな。 この学校の『かまいたち』は、なんだろうな?

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop