存在の価値

ある夜

いつもとは違う荒げた声で俺を呼んでいた。

「おい!」


そこは、いつもと違う全てが真っ暗闇の世界。


足場すらあるのか分からないそこでまたも鋭い目つきをした、自分と同じ形をした自分がいた。


「お前は今、決断を迫られてる。神とか名乗ってるあいつの言うとおり自分の世界を創り変えるか、俺と白の奴と組むか。」

「君は、黒だね。」

「ああそうだ、初めて精神世界にお前を引きずり込んだのは神の奴だがな。神は、半ば強迫観念をお前に与え精神世界に入りやすい体質に変えた。その為に俺のフリをしやがった。」


「フリ?どういうことだ?」
問う。


「奴は全ての罪を俺のせいにしたいのさ。意識を乗っ取り、脅迫状を書いたり、部屋のレイアウトを変えたり・・・な、覚えがあるだろ。」

彼は、いろいろ教えてくれた。精神世界に入るにはある程度強迫的においこまれていなければならないこと。白という人格。俺が、多重人格である事。



神の目的、そして、謎。


でも、俺には、どちらも正しい気がした。
黒は、一通り話し終わると笑顔で手を差し出してきた。
俺もそれに応える。


そこで世界は戻り。俺という世界が崩れ去ろうとしていること。



それを考えた。
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