多重人格

誕生

僕は、絶望が欲しかった。
みんなの言う絶望。

だから、そうなるように仕向けた。雄亮が絶望するために。
僕は、無から生まれた。僕が有の意識の確立するためには、雄亮を絶望させて衰弱させる必要があったからだ。
僕は、本来いなかった存在。
微弱な自我の雄亮に絶望を与えれば、
僕の居場所になるんだ。
僕の居場所

雄亮の心の空白を埋める僕

そうさ。僕がいることで雄亮だって幸せになるんだ。
白。僕は、自分が白だと思う。

だって、雄亮よりずっと純粋で繊細だから。

だから、僕は雄亮を苦しめる。追い詰めるんだ。

ねえ、雄亮、幸せでしょ?




絶望って気持ち良いんだよ?



ねえ、雄亮    聞こえてる?


君の中で生まれた孤独で白い感覚 それが僕。


邪魔をしないで。

誰も。誰も。誰も。





やめて。

僕は、シロ。白いのシロだ。
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