オレンジラヴストラック

恋の為の犠牲



月は太陽に変わり、日暮れが近づく。


崖が小さく見える。


海面から顔を出し、拓也の存在を確認する。


崖の下にも砂浜にも人の気配はしない。


「まだ来てない…か」


魔薬の小瓶を握る右手に力が入る。


まだ少し遠い崖に向かって泳ぎ始める。


「ソフィアっ!」


冷たくて低い私の嫌いな声。


「お父様!?」





< 91 / 119 >

この作品をシェア

pagetop