社長のご指名 *番外編Ⅲ*
ちょこちょこと走ってくる鈴は俺の足にしがみつき笑顔で見上げてくる。





「鈴と談話室で待ってるよ。」





鈴と手を繋ぎ、章菜にそう伝えエレベーターの扉を閉めた。





「しょこ、しゅわりなしゃい!」


「…………。」


「ハイ、でしょ!」


「………はい。」





談話室に着くなり、俺の手を離して椅子によじ登り座るのかと思いきや、その上に仁王立ちし自分の向かいにある椅子を短い指で指している。





「パパ、ごめんしゃーいは?」


「ごめんなさい?」


「ママにしゅーるーのー!」





―――――俺って、鈴に怒られてるのか?





「ママなーてたの!」


「ママ泣いてたの?」


「しょー。メっしょ!」





まだまだ小さいのに、言葉も拙いのに、現状をわかってないのかもしれないのに、親をよく見てるんだなぁと叱られながら関心する。




「あっママー!ここよー。」




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