ビターな彼に夢中[短編]
夜、お母さんには恵ちんに会うって言って家を出た。

ごめんねマミ~…

近い内にちゃんと紹介する予定!


家からすぐの角を曲がると
智也くんの車が停まっていた。


智也くんは会社帰りにそのまま来てくれた。


私は助手席に乗り込んだ。

智也くんをチラって見る。

スーツ姿の智也くんはハンドルに肘をのせて

甘い視線で私を見ていた。

大好きな低い声で

『よぉ』だって…。


智也くん…

かっこいいよぉ…


『本物の智也くんだぁ…』


私の発言に智也くんは少し笑う。

『なに?また妄想してたの?』


うん…

毎日、頭の中で
バーチャル智也くんと会ってたょ。


『だってずっと逢えないんだもん…』

口を尖らせる私に智也くんは悪戯に言う。


『へぇ…エロい妄想もしたの?』


な…なな…

恥ずかしぃ…

顔が赤くなる。


『し…してないよっ…』

…ちょっとだけしか。


智也くんは笑いながら
車を発進させた。


ちなみに…

智也くんとは
まだキスしかしたことなぃ。


私のファーストキスは

この車の中で夜景を見ながらだった。



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