迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*

アイツのお姫様




「……あ。お風呂、お先にどうぞ?」



夕飯をすませて。


母さんの強い勧めで泊まっていくことになってしまった俺。


今夜は彼女も“泊まってく”って言うから、断ったのに……



「別にいいんじゃない?
部屋、空いてるし。みさきは俺んとこで寝るから気にしなくていいよ?」


絶対に嫌がると思っていた航がすんなり承諾するもんだから…決定してしまった。


「ホラ、航もああ言ってることだし、もう遅いし……ゆっくりしていって?」



母さんは無邪気に笑って、「朝早いから」と、さっさと寝てしまった。


残された俺を、彼女が風呂へと促したわけで。



「着替えは、今航くんが取りにいってますから。」



柔らかく言って、彼女はそのままリビングのソファーに腰をおろした。


なんだか申し訳ないな…と思いつつ。


でも断るにも断れないまま、俺はバスルームへと向かった。



< 34 / 334 >

この作品をシェア

pagetop