1分と31秒のとびら。
由紀に、先に帰ってるとメールをしながら、私はカレーのことばっかり考えていた。


喜んでもらえるかな。
あ、サラダもあった方がよかったかな。
スープも作ってみる?


なんて、正直浮かれてたんだ。



だから、後ろから近づく人影にまったく気付かなかった。


すぐ真後ろに迫って、影が私の影に重なろうとして初めてその存在に気付く。




振り返って見た人影は、知らない男の人だった。

手にはぎらりと光るものが握られている。


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