風になれ
「お、野風お疲れ!」

大地くんだ。

男子はやっぱり勝ったらしい。
部長の小川くんが顧問の先生と
県大会について話していた。

「女子はどうだった…っておい!?」

大地くんが驚いたのも無理はない。
私は彼の胸に飛びこんで号泣していた。

「わ、わたし…っ
 何もっ何も出来なくてっ
 びびっちゃって、震えちゃって、
 ふぇっ優子に、たっ頼ってばっか、で」

ぐすぐす泣く私を大地くんは
ぎゅっと抱きしめてくれた。

「出来な、かった!
 楽しもう、と、思って、気持ちをっ
 切り替えたりとかもし、した、けど、
 どうして、もっすくんじゃってっ
 大地、く、んに教えてもらった
 カット、も、リターンも、ボレーも、
 空回ってっ私…勝ちたかった、のに!」
< 117 / 168 >

この作品をシェア

pagetop