風になれ

試合終了

「よくやった、ふたりとも!」

ベンチに戻ると徳元に背中を叩かれた。
正直とっても痛い。

「ちょ、徳元先生痛いってば。
てか、広内先生はどこいるんですか?」

優子は広内先生を探している。

「広内先生なら山本たちの試合だ」

山本さんは2番手のペア。
…そっか、私たち期待されてないのか。
少し凹む私たちに徳元が苦笑して言う。

「そんなに私じゃ不満か?
確かに私は広内先生ほどの
指導力はないが、お前たちのことを
最初からずっと見てきたぞ」

そう言う徳元に私たちははっとした。
今は懐かしいサーブ練習を思い出して
徳元に申し訳なくなる。

「先生、ごめんなさ…」
「そう思うなら、勝ってこい」

謝ろうとしたら鋭い声に遮られた。

「勝って、
私が指導してこれてよかったと
ここまでの成長を見れてよかったと
思わせるようなプレーをしてこい」
「「はい!!」」

またもどんっと力強く背中を叩かれ
私たちはコートに向かった。
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