white*letter


「ちゃんと生きる」

冷たいような、温かいような、そんな風にそっと包まれた。


「ありがとう。ちゃんと最後まで話しを聞いてくれてありがとう」

「…………」

「何も言わなくていいから、今度は黙って見ていて」

内藤くんも私も、お互いの目をそらさずにじっと見つめる。


「これから前に進むから、見守っていてほしい」

「…………」

「ずっとじゃなくていい。今だけでもいいから、見ていてほしいの」

届くかな。

矛盾しているこの言葉たちが、ちゃんと内藤くんに届くかな。


「わかった。ちゃんと見てるから」

どうやら、ちゃんと内藤くんに届いたらしい。


「ありがとう」

そんな内藤に、笑顔を向けて見せた。





< 207 / 268 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop