キミの手の奥の僕


それに晴と関わらないようにしてる。



だから絶対に行かないんだ。



「2人じゃ気まずい」



沙和はぷくっとほんのり赤い頬を膨らませて言った。



「…付き合ったらどうするの?」



そう言葉にだすと、きゅっと胸が痛くなった。




付き合ったら…。

沙和と晴が付き合ったら、私は…。




「な、何ゆってるの!」


また顔を赤くして慌てる沙和に「分かんないよ?」と笑いかける。



この笑顔にも少し慣れた気がする。




「おーい!」



その声にびくっと反応して更に顔を赤くして下を向いた沙和を見て、私は慌てて席を立った。



晴がこっちに来る。



「ごめん、ちょっとトイレ。」


そういうと晴と顔を合わせないように教室をでた。



廊下を歩いて、行く宛もない。



トイレなんて行かないし。



「はあ」


ため息を吐いた時、私の肩を誰かが掴んだ。



「えっ」


驚いて後ろを向くとにこにこと可愛く笑う未玖がいた。



「ねー佳世ー。」



未玖がしゅんとした表情を見せると、手招きをした。


「え、なあに?どうしたの?」


首を傾げると、今度は未玖が自分の耳を指差した。



あ、そういうことか。




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