愛してるさえ、下手だった
満希:現れたのは、


「別れようぜ」


彼にそう言われたのは、冷たい雨の降る日だった。


「うん、いーよ」

いつもと同じデート。
2人で映画を見て、ご飯を食べて、時々彼の家に遊びに行ったりして。

大人の真似ごとをするような、ままごとにも似たデート。

だけど今日のデートはいつもとは少し空気が違った。


だからこう言われることも、頭の片隅でわかってた。


「お前さぁ…」

彼が頭を掻きむしりながら、うんざりした顔で私を見る。

別れたかったんでしょう?
あなたから言い出したのに、どうしてそんな顔をしているの?


「いっつもへらへらしやがって…。ほんと、むかつく」




< 1 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop