愛してるさえ、下手だった



朝の眩しい光が、カーテンの隙間から部屋中を満たす。
いきなりの明るさに、目がしぱしぱした。

旭が赤く腫れあがった目を乱暴にこすり、起き上がる。
軽く咳き込むと、気だるそうな目であたしを見つめてきた。


「…悪かった」

一睡もしていない頭では、すぐにその言葉の意味を理解できない。
思わず首を傾げると、彼は面倒くさそうに舌打ちした。

「殺そうとしたりいきなり泣いたり、悪かったな」


普通の日常会話で使わないような単語は置いておいて。
その気持ちだけで十分だった。

こんな殺し屋が、世の中にいていいんだろうか。




「満希。今日俺出かけるから、ここでじっとしとけよ」

旭がそう言いだしたのは、あたしたちが一緒にいるようになってもうすぐ一カ月が経とうとする頃。

「なんで?あたしも行く」

旭の服の裾を引っ張って引き止めると、

「バカか」

間髪いれずに旭の声が飛んできた。



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