恋の教習所
時間帯が時間帯なのかどんどん店内は混み合ってくる。
ということはもちろん料理が運ばれて来るのも少し遅れるだろう。
でも、そんな待ち時間でさえ私たちにとってはお楽しみの時間。

ドリンクを取りに行って席についた私に

「どう?仕事は。憧れの谷川教官いるんでしょ?」

早速この話題が来た。

私が免許を取るときに友紀も一緒に通っていたから、谷川教官の事は知っている。
あの頃から私は騒いでいた。

「いるよー。学科聞かせてもらったりしてる。」

「うわっ!やったじゃん!!」

私の報告に友紀のテンションが上がった。

「でも相変わらず当ててくるよ。」

「うわっ・・・それはやだ。」

今度は一気にテンションが落ちた。


谷川教官は学科の時に教習生を当てる人で有名だったりする。
それもかなり当ててくる。

恥ずかしくて嫌がる人もいるけど、絶対にその人に恥をかかせるような質問はしてこない。
教習生を見て質問を選んでいるようだ。

友紀は反応がいいのかおもしろいのかよく当てられていた。
だからそう言った面では苦手な部類に入るのだろう。

私はと言うと、大人しめに座っているので中々当てられなかったり。
当てられる人は会話が出来るからいいなぁ、なんて思いながら授業を聞いていた。

「まぁ、みちゃきは当てられても模範解答するから余裕だよねー。」

テンションによって私の呼び方が変わるらしい。

この呼び方は中学の頃からだ。

「模範解答になっているかはわからないけど、予習はして行ってる。」

そう、私はいつ当てられても答えれるように予習はしていた。

教習生の頃からずっと。

「さすがだよね。教習生の頃からみちゃきの事、お気に入りだったもんねー。」


それはない、絶対に!!

「それはないよ!私当てられる回数少なくて、避けられてるのかなって思った事あるもん。」

周りの人と比べていたんだ。


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