恋の教習所

~木田友紀の場合~

私、木田友紀は今年大学を卒業して看護師になった。


社会人。

学生を終わらせた私にとっては新鮮な言葉。

けど、中学の時から付き合っていた彼氏はもうすでに社会人。

デートでも

「いいって。僕仕事してるんだし、おごるから。」

って何度も私の分まで払ってくれた。

一応お小遣いをもらっている私だけど、学校で学食行ったり友達と遊んだりしていたらどうしても苦しくなるから、本当に嬉しかった。

同時に、優しいなという気持ちと申し訳ないなという気持ちだった。

今度から私は彼と同じ立場になる。


気を遣わなくても良い様に、今まで助けてくれてた分お返しが出来るように。

社会人になる事が少し楽しみでもあった。



もちろん働き始めても会っていたし、楽しくて。
次の仕事も頑張ろうって思えた。
彼はそんな存在だった。


でも、学生の頃とはまたちょっと違って。

一緒に入社した人たちは同級生ばかりではない。
年上の人もいる。
前に他の仕事をしていた人もいる。

色んな人の集まり。

その中でうまくやっていかないと行けない。


よく彼は高校を卒業してそんな世界で頑張っていたんだと思う。

だからかな、私の仕事の事も気にしてくれる。

嬉しかった。

大切にしてくれているんだなって思ってた。


そんな私に入社して起こった出来事。
同期の男の子が提案した事。
私は、これが社会人なんだって嬉しくもあり、彼の事もあって複雑だった。


それを相談したのが、中学の頃から仲良くしている一ノ瀬三咲。

三咲に話を聞いてもらって。

私は行動に移した。
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