夜色オオカミ




「じゃあ、何かあったらすぐに連絡しろよ?」



「はいはいっ。ほら!橙伽さん待ってるでしょ?」



あたしは相変わらず難しい顔の十夜の背中をグイグイ押して玄関に促した。



「そんなにすぐ行ってほしいのかよ……。」



眉間にシワを寄せてあたしを見る。



それも、不機嫌な理由なんだ。



あたしはついそんな十夜にクスリと笑う。



「…………。」



それに気づいた十夜はさらにむ~っとしてそっぽを向いてしまった。



あたしは十夜の制服の裾をちょっと引っ張って



「そんなわけないじゃん。

でも、あたしのワガママで十夜の大事な用事…邪魔したくないの…。」



顔を赤くして、上目遣いに…わかる?って聞いた。



「……っ!頼むから、これ以上離れがたくするな……。」



「………!?」



はぁ…とため息をついて、あたしをぎゅうっと抱き締めると名残惜しそうに迎えに来た橙伽さんに引きずられて帰って行った。



あたしも十夜を乗せて走り去った真神の車を見送るとバックをぎゅっと持ち直した。



「よしっ!心配かけないようにさっさと帰ろ!」



そうして、やっぱり十夜が隣にいないと寂しいな…なんて思いながら学校を後にした。










一人とぼとぼと暫く歩いて…家まであと半分って距離の所だった。










「あの……」



「……?」










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