夜色オオカミ
それはどうやってこちらの隙をついてくるか予測も出来ない力だ。
「うん。ちゃんと気をつける……。」
泣きそうなほど心配してくれる萌花に、これ以上の心配をかけたくなくて…あたしは出来る限りの笑顔を見せた。
「約束よ!!」
萌花も少しだけ眉を寄せていたけど、笑顔をあたしに返してくれた。
だけど
全く予想外の方法で……
――――紫月さんは近づいていた。
確実に
あたしを自ら自分の元に呼び寄せる方法で……。
あたしはそれを断れないと…わかっていて……。
強かで利口な紫狼が最初に狙ったのは
――――あたしじゃなかったんだ。