夜色オオカミ




『どうした?雪夜…何があった?』



『…アルビノはどんくさいから仲間に入れてやらないって…。

僕、アルビノなんてヤだ!咲黒兄さんみたいな黒がよかった……!』



能力を持たない稀なアルビノとして生まれた自分……。



子供の頃、仲間の人狼達から仲間外れにされることなどしょっちゅうだった。



『くだらねぇなぁ…。

雪夜は雪夜だろう?

俺はおまえの白い毛皮が好きだぞ。』



『そういうことじゃなくて…』



『おまえにも俺にも、この色に生まれた理由があるんだよ。』



『理由?』



『おまえには能力なんて必要ない強さがあるんだ。

おまえが能力を持たねぇのは……おまえの内に秘めた強さがそれに優るからだ。

悔しければ、そんなもんは必要ねーって言える力をつけろ。


いいか?おまえは白だ。自分の力は自分で何色にも染められる。

自分の力を創れ。

おまえにはそれが出来るんだ。』



『………!!』









強く



優しく



力をくれた人。









私は兄のこの言葉を胸に、死ぬほど自分に知識を溜め込んだ。



皆を認めさせる自分の力を創るために。









『おまえはすごいな、雪夜。』







――――兄に、褒めてもらうために。







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