夜色オオカミ
「………!」
食わえた一輪の血染めの白百合を…十夜が紫月さんの足元に落とすと、紫月さんが追いかけるように百合を見つめた。
百合はまるで月のような青白い光を放ち、ポウ…と淡く輝いて見えた。
そして次第に光は膨張を始め…百合の上に徐々に人の形を型どってゆく…。
きっと誰もが…息を止めてそれを見た。
「……っ……まさか………本当に………」
呆然と零れた紫月さんの呟き
目の前には
ゆらりゆらり…揺らめいて、半透明なその姿――
淡く光り、消えてしまいそうなほど白く儚い……
『………やっと…逢えた……。心花の…オオカミ……』
「………!!!」
柔らかな笑みを浮かべた…
――――彼の花嫁………。
「心花………!!!」