夜色オオカミ
――――可愛い。
まずそう思った。
ふわふわと長い髪も大きな瞳も華奢で小さな体も……
まるで愛玩人形さながらの可愛らしさだ。
彼女からは甘い花の香りがした………。
狼のよくきく鼻にその香りは濃密に漂い…頭の芯まで痺れてしまいそうだった………。
心の高ぶりは思わず低い唸り声になって出てしまった。
そしてこの時を待っていたとばかりに雲がはれ……月の光が俺を射す。
ハッとまた脅えた顔の花嫁が、ついに俺の姿を捉えた―――
堪らない……
その眼差しだけで俺を狂わせる
愛しの花嫁
この瞬間……
俺はおまえに全てを捧げると誓った。
間違えることのない《運命の花嫁》
俺は確かに人狼とその魂の半分を持つ花嫁との絆を
身を持って感じた―――