夜色オオカミ




灰斗を見れば俺が恵まれている事はよく解る。



でも、アイツを待ってたら…



あの意地っ張りな花嫁は、なかなか俺の手には入ってこねぇんだ。



祈咲を思い出して、自分の失態を思い出した。



好きな女の前で赤面…………。



知らず眉間に皺が出来る。



でもやっぱりあの可愛い顔を思い浮かべれば胸が高鳴った。



ふと視線が気になって灰斗を見れば、



起き上がりあぐらをかいてポカンと口を開けたマヌケ面で、目を皿にして俺を凝視していた。



「……なんのバカ面だ?」



俺の問いかけにハッとして、灰斗はパチリと瞬きをした。



「だっておまえ笑ってんだもんよ……。

絶対今、花嫁のこと考えてたろ?」



あんなおまえは初めて見た…と、まるで幽霊でも見たかのような反応だ。



「だから何だよ?」



不機嫌に答えれば更に驚いた顔をされた。



「恐ろしい……。今まで誰にも興味なかったのによ……。

おまえのハマりっぷりは何だよ!?

俺に喧嘩売ってんのかっ!このヤロ~~っ」



「そりゃてめえだ!バカ!!」





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