夜色オオカミ




「うわぁ~~っ!若様の姫君かわい~いっ!!」



「…………!?」



赤毛の男の子が十夜に吊るされたままあたしに向かってにっこり笑う。



「ほんとだ!!若様ずる~…!」



ほんのり青みがかった黒髪の男の子も同じく吊るされたままあたしをじっと見つめた。



ヘタしたらコスプレみたいなその姿……。



可愛らしい顔も相まって……!



「か…っ、可愛いい~~っ!!!」



胸の前で手を組みあわせて思わず一言。



十夜はまた、はぁ~…とため息をつくと二人をおろし…その手を二人の頭にぽんと置いた。



「しょうがねぇから紹介してやる。

こっちの赤毛が紅刃(クレハ)、青いのが蒼刃(ソウハ)。

7歳の双子で…俺の又従兄弟になる。」



十夜から紹介されると二人の狼少年は、にっこり笑ってあたしを見る。



又従兄弟って事は……十夜のお祖父さんとこの子達のお祖父さんが兄弟って事だよね。



「ずっと会いたかったんだよっ!姫君!ぼくは紅刃。紅(ベニ)って呼んでね♪」



にっこり手を差し出され、あたしは無邪気に笑う彼の手をとり…つられるように微笑んだ。



「紅ずるい!姫君っ!おれは蒼刃!蒼(アオ)って呼んで!おれもずっと会いたかったよ!」



慌てたようにやってきて、やっぱり笑顔で手を差し出される。



あたしは二人と同じ目線になるように座って彼らの手をとり



「あたしは天宮祈咲。あたしも二人に会えてすごく嬉しいよ。」



「「…………!」」



そう言ってにっこりと笑った。



歓迎してくれてるのがひしひしと伝わってきて……本当に嬉しかった。





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