許されない、キスをしよう。
「…律萪ちゃん。」
しばらくして、現場の雰囲気が落ち着くと、蒼が声をかけてきた。
いろんなことがあって、蒼とは撮影の時ですらほとんど会話をしていなかった。
…だから、不覚にも胸が小さく音を立てる。
「…お疲れ様。」
目を見ることができなくて、私は目線をそらしながら言う。
「…。」
蒼から返事が返ってこないから、私は思わず顔を上げてしまう。
見上げた先には…
切なげに揺れる、蒼の瞳があった。