いちごいちえ

想風






―――……朝。



頬に感じるくすぐったさに、そっと目を開けた。



なんだかぽかぽかして、るぅの匂いがする………。



「おはよう。起きたか」



「…ん?えっ、あれっ?」



すぐ間近にある瑠衣斗の顔に、一瞬自分の置かれている状況が分からなかった。


頬に感じたくすぐったさは、瑠衣斗の手の感触だったんだ。



いつから起きていて、いつから見られていたかも分からずに、恥ずかしさで顔が熱くなる。



そんな私を、瑠衣斗はふわりと笑って見つめている。



「いい加減慣れろよ」



「だっ…だって」



慣れるとか慣れないんじゃなくて…照れてるんだよ。



そんな事は言わずに、口を噤む。



私が毎日、目を覚ます度に隣にるぅが居る事を、どれだけ幸せに思ってるか、るぅは知らないんだろうな。




少し寝乱れた髪を手ぐしで直しながら、瑠衣斗が私を見据える。


思わずドギマギしてしまい、布団を引き上げて口元を覆った。



「なに?なんで隠れるんだ」



「るぅ…ち、近い」



「ももが隠れるからだろう」



「かっ、隠れてないじゃん!!のぞ、の、覗いてるじゃん!!」




ドキドキしすぎたせいで、なんとも可笑しなセリフになってしまった。


「ぶっ…必死…」



それに対して、一瞬目を大きく見開いた瑠衣斗が、次の瞬間には吹き出して笑い出してしまったのだった。
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