いつまでも君を見ている
あれ、目の前が、霞んで……。

栞那がぶれてみえる。

「未菜?」

だめだ、立ってらんない……。

瞼が重くて開かない……。

私はそのまま前に倒れこんだ。

「……未菜!」

栞那の声と、誰かの温もりに包まれた。

「篠田!!」

意識が無くなる前の記憶には、伊勢谷の姿とみんなの声が聞こえた。

それと、私は意識が無くなる前、こんなことを言った気がする。

「ごめんね……」

と……。

そして、意識は途絶えた。

あの、温もりは……、伊勢谷の腕の温もりだったんだ……。
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