いつまでも君を見ている
肩を叩かれて、顔を伊勢谷に向ける。

「っ」

伊勢谷には驚かされてばかりだ。

突然、伊勢谷の冷たい手が左目の目尻を触った。

「………泣いた?」

泣いっ……?

嘘。

無意識に泣いてた。

「涙が見えるならそうなんじゃないの……」

冷たい指が、目尻から頬へ移動する。

「……あの男が言ってた話、本当?………母親を、殺されて、妹に、バスケを出来なくさせたって」

「っ……。本、当」

伊勢谷の目が揺れる。

私が答えたら、この教室の空気が止まった。

同時に、伊勢谷の手が頬から離れた。

「話していい?私の過去」

伊勢谷は無言で頷いた。

窓際に移動して、窓に体を預ける体勢になった伊勢谷を見て、話をした。
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