いつまでも君を見ている
「えっとー…」

私はここにきた理由を話した。

「…ここで、お父さんが…」

「うん」

「でも、花が二個あるけど…」

「あ、それは…こないだ学校を襲った犯人と一緒に私たち家族を襲ったもう1人の犯人の分」

「…なんで、置いてんの?」

「……自殺なんかしないでちゃんと罪を償って欲しかった」

これは伊勢谷への答えじゃない。

独り言。

確かに、なんで犯人に花を捧げたんだろう。

まだ、恨んでるはずなのに…。

「……」

伊勢谷はいきなり私の隣にしゃがみこむ。

「なにしてんの?」

伊勢谷を覗きこむと顔の前で手を合わせていた。

……伊勢谷……。

思わず、頬が緩んでしまう。

「…犯人にしたんじゃない。篠田のお父さんにしたんだ」

「ふふ、ありがとう。あと、ごめんね」

「なんで謝ってんの?」

伊勢谷の声が低くなる。

怒ってるんだろう。

「……私と会ったせいで事件に巻き込んだから」
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