いつまでも君を見ている
「……行こっか」

私が空になった桶を手に取って歩き出す。

「…うん」

伊勢谷は私の隣に来て同じスピードで歩く。

『…ふふ…ありがとね』

「……!」

どこからか声がして立ち止まって後ろを振り返る。

……おかあさん…。

今の声は、おかあさんだ。

自分たちのお墓の前でおかあさんとおとうさんが微笑んでる、そんな感じがした。

…また来るね。

「…篠田?」

「今行く」

前に振り返って伊勢谷のところまで小走りした。

私たちはそこから笑いあって家まで帰った。
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