ため息に、哀

「すいませんっ! これ、先輩のですよね?」


だからと言って突き返されても困るだろう。

それでも俺は鼻血を拭いたタオルを返そうとしてしまった。

自分の行動のアホさ加減に、腹が立ってくる。


「別にいいよ。
それより、やっぱり骨が折れてると思うから、早く病院に行った方がいいかもしれない。今ならまだ病院も開いてると思うし」


そう言って氷嚢の中の氷を換えて俺に渡してくれた。

そのジャージに、いつ付いたのか、俺の鼻血が飛び散ったように付着していて、さらに申し訳なくなった。

汚してしまったタオルとジャージの件をひたすら謝る俺に、高橋先輩は本当に気にしていなさそうな顔で笑ってくれた。



さらには、俺が家に連絡して迎えを呼び、母親が運転する車が校門に停車すると、高橋先輩は俺の母親に事情を説明してくれた。

自分の目配りが至らなかったと言う先輩は、最後まで俺の心配をしてくれていて。

なんだか胸が熱くなったと同時に、興奮したせいかまた出血をしてしまったんだけど。


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