あわ玉キャンディ


「えー、いいじゃんっ。

最近別れたんでしょ?」


「...まあ、そうだけど」



あの男を思い出すと頭に浮かぶのは、やっぱりあのブルーの瞳。


あれから一か月。

街に出かけてみても、当然だけど、彼にばったり会うことなんて一度もなかった。

友達といても、通り過ぎる人をまじまじと見ちゃうこの頃のあたし。


もう一度、会いたい。

会いたくて仕方なかった。


失恋したばかりなのに、あの人のことばかりを考えてしまう。

多分、恋をしてしまったんだと思う。

年齢も、どこに住んでいるかも、

名前さえも知らない彼に。


普段のあたしならありえない。

全く知らない人に恋するなんてこと。


でもこの恋は真っ暗だ。

何も知らないから、いつ会えるかもわからない。

むしろ、

会えない可能性のが高いんだから...

< 11 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop