溺愛彼氏6:4

「は…羽柴?なんで…?」

羽柴を見ると、ふわりと笑ってじっとわたしを見つめていた。

「お前さ、本当は俺のこと好きじゃないだろ?付き合ってるって言っても、なんだかんだお前は俺のこと見てないのわかってたし」

それに…と羽柴は話を続ける。

「ていうか、本当にお前ら別れたの?距離を置きたいって言われただけで別れようとは言われてないんだろ?ただ単に北沖の思い込みだったのかもな」

ははって自嘲気味に笑う羽柴は辛そうだった。この表情をさせているのは紛れもないこの私なのだけれど。

「羽柴…私、悠紀くんに振られてなかったのかな?わかんないよ。悠紀くんのこと…」

悠紀くんの距離を置きたいという言葉の意味、別れたいっていう意味だと思ってた。寂しかった。だから羽柴と付き合おうって思った。

だけど、悠紀くんにキスをされて、私は悠紀くんのことをまだ引きずっているって認識させられたんだ。

「あいつの気持ちなんて俺にもわかんねーし。ていうか、早く決着付けてきてくんねーかな?」

「決着?」

「悠紀てやつと」

ここで羽柴はニカっと笑って、私の肩をつかんだ。そして、背中を丸めて私の視線に合わせるように屈んだ。

それでも羽柴の表情はつらそうで、笑っているのにその目にはうっすら涙が浮かんでいるようにも見える。

「…羽柴?」

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