丁寧な言葉にご注意を。
『一応、図書館ですので静かにお願いしますね?轟さん』
『え……誰?』
すっかり間の抜けた声を出して聞いた私
だって目の前にいたのはあの少ーーし髪がなくてえくぼがかわいいおじいちゃん
だと思ったのに、
いたのは眼鏡を掛けた男の子
誰とか言っちゃったけど本当は知ってる。
だって彼は
『轟さん、せめてクラスメートの顔くらい覚えた方がいいと思いますよ?社会性がないのは想像つきますけど』
なーーーーんか失礼な事言わなかったかね君?
そう、彼はクラスメート
その証拠に私と同じ高校の制服だから
『人を外見で判断しないっ!!』
特に私は不良に見られるのが一番イヤなんだっ!!
受付のカウンターの中に入り、空いていた彼の隣のパイプ椅子に座る。
『あぁ、失礼でしたね。すみません。』
口ではそう言うけど視線は私が初めてここに来てからずっと彼の視線は手元の本のまま
それがまた英語だかなんだかわからない横文字で頭ん中がぐるぐるした。
『中臣……君でしょ?』
『言いづらそうなので“君”は必要ないですよ。』
それはありがたいのでそうさせていただく。
『なんだ。ご存知でしたか。』
『クラスメートだもん‥そら知ってる。』
パタン、とやっと本を閉じた中臣
まぁ閉じたのは読み終わったからなんだけど