あの頃の夢
いつもは優しい委員長。

落ち着いてはいるけれど、
澄んだ声はいつになく感情的で、
否定的な力強さを孕んでいる。

そしてぼくはと言えば、
ようやく芽生えてきた
怒りの感情を、
間違った形でこの人に
ぶつけてしまった。

「いいって!」

どうしてあいつらには、
こんなに単純な怒りも
向けられないのだろうか。

小さく声を荒げて
言い放った後に、
ぼくの心は自責の念で
いっぱいになった。

暗い病室に、
蛍光灯の明かりが灯される。

それほど強い光でもないのに、
ぼくにはその青白くて薄暗い光が、
やたらと眩しく感じられた。

「ごめん。今日は、もう帰るね。
足、早く治るといいね」

委員長はそれだけを告げると、
そっと静かな病室を後にした。

怒らせてしまったのだろうか。

決してそんなふうには
見えなかったけれど、
普段から怒りを
露わにするタイプではないだけに、
言葉の真意がつかめなかった。

本当に、情けない。

せっかくお見舞いに来てくれたというのに、
つくづくと自分が嫌になる。

いっそのこと、
このまま泣いてしまえば
楽になれるのかもしれないのに、
下手なプライドが邪魔をして、
それを許してはくれなかった。
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