二世

.衝動

 
目が覚めれば、いつもと変わらない朝、見慣れた部屋。


―――ではなかった。




焦点の合わない瞳でぼんやりと光沢のある白い天井を見ていた那佳。

隣から聞こえる穏やかな寝息に佐和子を見た。
あまり眠れなかった自分と正反対な佐和子に、自然とため息が出た。


「馬鹿。」


那佳にギュッと鼻をつままれ、眉間に皺を寄せるものの、夢から覚めない佐和子。

早々に起こすのを諦めた那佳は身体を起こし、窓に視線を向けた。


窓の外は何も変わらず暗闇が広がり、今が朝か昼か夜かさえも判断出来ない。

寝不足で重い頭は、休養を必要としていたが、そんな気持ちにはならなかった。

起き上がった那佳は靴を履き、ベッドから化粧台に移動した。
簡単に髪を整え、鏡に映る自分をぼんやりと見ていた。


思い出すのは昨日のこと。

初対面にも関わらず、「会いたかった」だの「捜していた」だの言われても、那佳には理解出来なかった。

(本当はどっかで会っていた?…まさか。有り得ないよ、宇宙人との交流なんてないし…)



「よしっ!!話を聞きに行こう。」

突然のことに頭がついていかなかったけど、待ってるだけの受け身な状況は“らしくない”と思った那佳は、頬を軽く叩き、気合いを入れた。


佐和子を起こさないように静かに部屋を出た那佳は、右も左も同じ廊下に、意気込みも意味をなくしてしまった。
この部屋と昨日行った応接室しか那佳は知らない。
どこに何があるのかを知らない為、部屋を出てからの一歩が出なかった。


「ナカ様?」

左の方から聞こえた声に、那佳が視線を向けると、カートを押しながら歩いてくるギイがいた。


「すでにお目覚めでしたか。」
「あ、おはようございます…?」

にこやかに挨拶を返すギイ。
彼の押すカートには美味しそうな料理が乗っていて、反応するように那佳のお腹が小さく鳴った。
隠すようにお腹に手を当てながら、那佳はギイを窺い見たが、気付いた様子もなく、話していた。


 
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