こちら新宿中央署刑事課
と見るのが自然でしょうか?」
と訊くと、岩永が、
「サカさん、間違いないよ。これはれっきとした殺人事件だ。第一、飛び降り自殺を図るにしても、遺書もなければ自殺するだけの動機がない。殺しと見て、まず正解だろう」
と返す。
「……」
一瞬黙り込んだが、坂野が口を開く。
「あの夜、警備担当だった山城さんという男性の方に訊いてみたところ、屋上階は午後八時には鍵が掛けられていて、社員は出入りできなかったそうです」
「でも、営業本部主任って肩書きがあれば、屋上の合鍵ぐらい作っておくだろ?」
「いえ。それが先ほど、マル害の部下だった社員数名に電話を掛けて確かめたとき、皆、『主任は合鍵など作っていなかった』と口を揃えて言ってました」
「じゃあ、サカさんはどう見るんだ?今回の事件」
「私は現段階で岩永警部補と同じく他殺の線を踏みますが、少なくとも永嶋さんが午後八時前には屋上階から落とされ、死亡したと見ます。直接の死因は、鋭利なナイフのような
と訊くと、岩永が、
「サカさん、間違いないよ。これはれっきとした殺人事件だ。第一、飛び降り自殺を図るにしても、遺書もなければ自殺するだけの動機がない。殺しと見て、まず正解だろう」
と返す。
「……」
一瞬黙り込んだが、坂野が口を開く。
「あの夜、警備担当だった山城さんという男性の方に訊いてみたところ、屋上階は午後八時には鍵が掛けられていて、社員は出入りできなかったそうです」
「でも、営業本部主任って肩書きがあれば、屋上の合鍵ぐらい作っておくだろ?」
「いえ。それが先ほど、マル害の部下だった社員数名に電話を掛けて確かめたとき、皆、『主任は合鍵など作っていなかった』と口を揃えて言ってました」
「じゃあ、サカさんはどう見るんだ?今回の事件」
「私は現段階で岩永警部補と同じく他殺の線を踏みますが、少なくとも永嶋さんが午後八時前には屋上階から落とされ、死亡したと見ます。直接の死因は、鋭利なナイフのような