独身マン
火花

ガチャ


事務所に誰かが入ってきた。
あかねだ。


高級そうなブラックスーツを着こなし、スラッとしていてやたらとカッコイイ。 明るい茶髪のヘアと良く似合う。
プンプン香水の匂いを辺りに振りまきながら、カツカツとヒールの音を立て、前に流れてきた縦巻きの髪を後ろへと払う。



「課長。 面接に来た女の子を会議室に案内しました」


「おー、そうか」



立ち姿もカッコイイ。
さっきまでの怒りがどこかへ飛んでいってしまった。
正義は三人の彼女候補の中で、あかねが一番好きだ。



(イイ女だなぁ。 香水臭いけど)



口をぽかんと開け、アホズラであかねに見惚れている正義を美紀子は見ていた。



(うわ、キモ)

美紀子の顔は引きつった。



かわいそうな正義。
好きな人を見ているだけなのに。



美紀子とあかねは仲がイイ。
こんな面白い情報はスグに本人に伝わる。

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