独身マン
君は僕のもの
あの後さえは一応正義にメールを返しておいた。



『そうですか』と。 他って置けばいいのに、なぜか返してしまう性格のさえチャン。



けれども逆にそれが正義をお調子者にさせてしまっていた。 正義のなかで、“返事がくる”ことが、“大丈夫。 僕達は繋がっている”という唯一のささえなのだ。 



昼過ぎに目を覚ました正義は、まず最初に携帯電話を見た。 さえからメールが入っている。



(お、さえちゃんからだ~)



別に正義だってさえが良いわけじゃないんだ。 できれば美紀子やあかねがイイ。 ただこの勘違い野郎は、さえが自分を好きなんだと思っている。 



(“友達”は多くなくっちゃね~)



でも春海からはない・・・。 ムカツク。



正義は携帯電話の春海のデーターを開いた。



(くっそ~! ばかにしやがって! 向こうから番号聞いてきたのにさ~! だいたい好みじゃないっつーの!)



なぜかその日は無償にイライラしていた。 もう、勢いに任せて正義は春海の携帯番号を消去してしまった。



(フン! いい気味~。 絶対、ぜったい、ぜ~たい。 今度こそシカトしてやるもんねー)



そして携帯電話をベッドの上に放り投げる。



正義はトイレへ向かった。 “縁”を切ったことで、心が少し吹っ切れたようだ。



(あー、おなかすいたな)



「母さん! なんか飯ある~??」



美味しいものでも食べて、今日はゆっくり過ごそう。
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