独身マン
結婚
「結婚はしたいわよ」



一ヶ月ほど前の話。 あかねが美紀子に言った。
ジム帰りに2人は乙女心を掴んだカフェでまったりとくつろいでいた。
おなかはすいているけど、今日は食べない。
だから2人とも痩せている。
食べない事にはなれたから我慢は平気。



「でも相手がいないから」



コーヒーカップをまわしながら言うあかねに対し、美紀子はきれいに磨かれた爪をいじりながら、あたりまえの様に答えた。



「つくらなきゃ」


「そうじゃない。 できないの」



あかねは少しむきになっていった。 美紀子はちらりと上目使いで見てくる。



「結婚、結婚って言われても、できないから仕方が無いじゃない? それに・・・」



あかねはうつむく。



「・・・それにさー、負け犬って言葉きらいなの。 だって、仕方が無いじゃない」


「・・・」



少し暗くなってしまった。 このままだと自分が自分じゃないようだ。 否、人前の自分じゃない。


だからごまかすかのように、あかねは笑い飛ばした。



「だってさ! 私につりあう良い男がいないんだもん!!」


「あははは! そーよ! その通りだわ!」



美紀子は笑った。 あかねが笑うから。
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