独身マン
「この紙にサインお願いします」
「はい」
拓也はサインをした。
しかしそれでは終わらず、宅配スタッフに声をかける。
「いつものおじさんはどうしたの?」
拓也の言う“いつものおじさん”とは、今までこの会社に荷物を運んできていた人のこと。
「ああ、なんか腰を痛めちゃったみたいです」
「それは大変だね」
「しばらくの間あたしが担当するので、よろしくお願いしますね」
「こちらこそ。 おじさんにはお大事にと伝えて下さい」
女の子はにっこり笑った。
「はい! では失礼します」
正義はその光景をちら見しながら思う。
(アイツ、いちいち声かけやがって。 クソ女ったらしめ)