colors

「しゅーくんが呼んでるよーう」

「ありがとーう」

んで、学校中のアイドル三崎終君は私の友達なわけで。
こうやってたまにCDの貸し借りをしたりとかしてて、実は仲良くて。
三崎が私を訪ねてくるたびに、ちょっと視線が集まる。

「よっ、三崎」

「ああ、うん」

ああうんってなんだよ自分で呼んだくせに、なんて笑いながら教室を出る。
教室では視線が多くて落ち着かないので、三崎と話すときは大体廊下か屋上。
今回も例外ではなく、廊下まで出て三崎に要件を訊く。

「で、要件は?」

私の言葉に、少し難しそうな顔をする三崎。
何をそう悩む必要がある。
せめて言うことまとめてから来い!

「いや、一緒に帰んないかなーって?」

三崎は謎の疑問形で答えた。
うん、よかろう。

「いいですよー」

「そ、そう?じゃ、圭呼んでくる」

圭?けい?ケイ?K?
もしかして宮増圭?
マジか!?それはキツい。
しかし苦手だなんて言えるわけもなく、否応なしに宮増が連れてこられた。

「…どーも、五樹さん」

「あ、どーも宮増君」

なんというか、よく私の名前覚えてたねこの人。
ある意味すごい。
ってか普通にすごい。私、席が近くなって初めて名前知ったくらいなんだけどな。

「ふふ、五樹透乃でしょ?」

私の名前はよく逆さまに覚えられる。
正しくは『いつき・とうの』なのだが、大体みんな初めは『とうの・いつき』といってしまう。
はじめてかもしれない。
初対面ちゃんと名前を言ってくれた人。



第一印象は、私の天国をうばったやつ。

第二印象は、ちょっと変わってて絡みづらいやつ。


今の印象は、彼の持つ黄色のブックカバーがとてもよく似合う、笑顔の可愛い、友達の友達。
< 2 / 3 >

この作品をシェア

pagetop