Reality~切ない恋の唄~
レッスンが終わると、
鞄の中のCDウォークマンを探した。

いつもテキトーに片付けるから、コードが絡まってる。

知恵の輪みたいなコードを引っ張りながら部屋を出る私。



その時、
階段の前に人影が…



「美奈!?今日来ないかと思った~。」

大きな柱に寄りかかったまま、手を振ってくれる美奈。



「美奈、聞いたよ!おめでと~!!」

「ありがと…。」

美奈は一瞬だけ笑顔を見せると、うつむいてしまった。

もっと喜んでほしいのに…。



美奈のこと悪く言ってる子もいるけど…

私は美奈のデビューが決まったこと、本当に嬉しいんだよ!



美奈は顔を上げて言った。

「私、来週からタレントクラスに変わるんだ。」

うちのスクールは、
所属タレントと一般の生徒が一緒にレッスンを受けることはない。



「さみしいよ~。美奈~。」

美奈が離れてしまわないように、力いっぱい抱きついた。
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