俺様アイドルとオタク女のキケンな関係


「実來ちゃん、見ないうちになんだか大人っぽくなったね。」


気付くと祈織お兄さんが前に立っていて、普段誰にも言われないような言葉を言ってくれた。


「そ、そんなことないですよ……。」


慣れない言葉がくすぐったくて、
でも嬉しくて、
顔が火照っていくのがわかる。


「祈織お兄さん、有名になっちゃったから、もう会えないと思ってました。」


「だから、俺はそんなんじゃないって。」


はにかむ祈織お兄さんは、やっぱり昔と何一つ変わらず、有名になっても、こんなにかっこよくても、飾った言葉なんて口にしない。



――そう、あたしにとって、祈織お兄さんは特別な人なの。


この三次元の世界で唯一、素敵だって思える男の人なんだ――。



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